転職するなら、できるだけ安定した会社を選びたい。
そう考えるのは自然なことです。
ただ、「正社員だから安心」「大企業なら大丈夫」と考えて転職先を決めるのは少し危険です。
会社の知名度や雇用形態だけでは、本当に安定して働けるか判断できません。
給与は安定していても、残業が多くて長く続けられない仕事もあります。
反対に、会社の規模は小さくても需要があり、長く使えるスキルが身につく仕事もあります。
この記事では、転職で安定を求める人に向けて、安定した仕事や会社の特徴を整理します。
業界・職種の選び方や、転職するか迷ったときの判断基準も紹介します。
転職で「安定」を求めるのはおかしくない
「やりたい仕事より、安定した仕事を選びたい」と考える人もいるでしょう。
転職先を選ぶうえで、安定性を重視すること自体に問題はありません。
ただし、最初に考えておきたいことがあります。
それは、自分にとって何が「安定」なのかという点です。
そもそも仕事の「安定」とは何を指す?
安定した仕事と聞くと、「倒産しにくい会社」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、安定にはいくつもの見方があります。
- 毎月一定の収入を得られる
- 長く働き続けられる
- 急なリストラや雇い止めの心配が少ない
- 無理のない勤務時間で働ける
- 将来も需要が見込める
- ほかの会社でも使える経験やスキルが身につく
たとえば年収が高くても、毎月の残業が多く体力的に続かないなら、本人にとって安定した仕事とは言いにくいでしょう。
反対に、年収はそれほど高くなくても、生活に必要な収入を得ながら無理なく続けられるなら、それを安定と考える人もいます。
正社員だから安定とは限らない
正社員には、雇用期間が限定されないなどのメリットがあります。
一方で、正社員になれば将来まで安心できるとは限りません。
会社の業績が悪化することもあれば、事業の縮小や配置転換が行われることもあります。
入社後に仕事内容や職場環境が合わないと分かるケースもあります。
そのため、転職先を探すときは「正社員かどうか」だけで判断しない方がよいでしょう。
「会社の安定」と「自分の安定」は分けて考える
転職では、会社そのものの安定性だけでなく、自分自身の安定性も考えてみてください。
たとえば、業績の良い会社に入社しても、そこでしか使えない仕事を10年間続けたとします。
会社を離れたとき、次の仕事を探すのに苦労するかもしれません。
一方、仕事を通して専門知識や実務経験を積めれば、転職が必要になった場合にも選択肢を持ちやすくなります。
「会社に長くいられるか」だけでなく、「会社を離れても働けるか」。
この2つを考えておくと、安定したキャリアを考えやすくなります。
安定した仕事・会社に共通する5つの特徴
絶対に安定している会社を見つけることは困難です。
それでも、長く働ける可能性を判断する材料はいくつかあります。
1.将来も一定の需要が見込める
まず確認したいのが、その仕事やサービスに今後も需要があるかです。
一時的に人気がある仕事でも、市場そのものが縮小すれば雇用に影響する可能性があります。
医療、介護、IT、物流、生活インフラなどは、社会生活と深く関わっています。
ただし、同じ業界でも会社や職種によって状況は異なります。
「有名な業界だから」と決めるのではなく、今後も必要とされる仕事なのかを確認しましょう。
2.特定の商品や取引先だけに依存していない
会社の売上が、ひとつの商品や特定の取引先に大きく依存していないかも確認したいところです。
主力商品の売上が落ちたり、大口取引先との契約が終了したりすると、業績が急変する可能性があります。
複数の事業を展開しているか、継続的に売上を確保できる仕組みがあるかなども見てみましょう。
3.離職率が低く長く働く人が多い
業績が良くても、社員が次々と辞めている会社では安心して働きにくいでしょう。
求人を見るときは給与だけでなく、平均勤続年数や社員の定着状況も確認してみてください。
同じ職種を一年中募集している場合は、その理由を調べることも大切です。
事業拡大による増員なのか、退職者の補充なのかで意味が変わります。
4.給与と働き方のバランスが取れている
月給だけを見て会社を選ぶと、入社後にギャップを感じる場合があります。
年収400万円で残業がほとんどない会社と、年収450万円で毎月かなり残業する会社。
どちらが安定していると感じるかは人によって違います。
基本給、賞与、残業時間、年間休日、福利厚生などをまとめて確認しましょう。
5.転職しても使えるスキルが身につく
会社の安定性だけでなく、仕事を通して何を身につけられるかも重要です。
営業経験、ITスキル、マネジメント経験、専門資格など、ほかの会社でも評価される経験があれば、勤務先に変化があった場合にも対応しやすくなります。
会社だけに安定を求めるのではなく、自分自身の市場価値を高めるという考え方も持っておきましょう。
転職で安定を求める人が検討したい業界・職種
ここからは、安定性を重視して転職先を探すときに候補となる業界や仕事を紹介します。
ただし、「この業界なら絶対に安定」という意味ではありません。
会社ごとの経営状況や仕事内容まで確認したうえで判断してください。
IT・インフラ
企業活動ではITシステムが広く使われています。
エンジニアやインフラ関連の知識を身につければ、勤務先以外でも経験を生かせる可能性があります。
ただし、IT業界は会社によって仕事内容や働き方の差があります。
未経験から転職する場合は、研修内容や配属後の仕事内容まで確認しましょう。
医療・介護
医療や介護は、人の生活に直接関わる分野です。
職種によっては資格が必要ですが、経験を積むことで長く働ける仕事もあります。
一方、夜勤や身体的な負担を伴う職種もあります。
需要だけで判断せず、自分が続けられる働き方か確認することが欠かせません。
メーカー
メーカーといっても、自動車、食品、医薬品、電子部品など分野はさまざまです。
転職先として検討するときは会社の規模だけでなく、主力製品や取引先、海外売上の比率なども確認しましょう。
金融・保険
銀行、保険、証券なども転職先の候補になります。
営業だけでなく、事務、審査、システムなど職種も幅広くあります。
ただし、業界内でも業務内容や待遇は異なります。
「金融だから安定している」とひとまとめにしないことが大切です。
生活インフラ
電気、ガス、水道、通信、交通などは生活を支える分野です。
インフラ企業そのものだけでなく、設備保守やシステム管理など、周辺企業にもさまざまな仕事があります。
公務員
雇用や給与の安定性を重視する場合、公務員も選択肢のひとつです。
ただし、民間企業から転職する場合は採用試験が必要になることがあります。
年齢要件などが設けられている場合もあるため、早めに募集条件を確認しましょう。
「今の安定を捨てて転職するか」で迷ったときの判断基準
今の会社に大きな不満はない。
給料も毎月入ってくる。
それでも「このままでいいのかな」と感じることがあります。
この状態で転職するかどうかは、簡単には決められません。
次の4つを順番に考えてみてください。
今の会社に残るメリットを書き出す
まずは転職する理由ではなく、今の会社に残るメリットを整理します。
- 給与
- 休日
- 残業時間
- 人間関係
- 仕事内容
- 通勤時間
- 福利厚生
- 将来の昇給
頭の中だけで考えず、実際に書き出してみると判断しやすくなります。
「転職しないリスク」も考える
転職にはリスクがあります。
しかし、今の会社に残ることにもリスクはあります。
たとえば現在27歳で、仕事にも人間関係にも不満がないとします。
ただ、5年間働いてもほとんど昇給せず、専門的なスキルも身につかない仕事だったらどうでしょうか。
32歳になったとき、今より転職先の選択肢が増えているとは限りません。
「転職すると何を失うか」だけでなく、「転職しなかったら何を失う可能性があるか」も考えてみてください。
5年後も今の仕事を続けたいか考える
今すぐ辞めたいほど嫌ではない場合、判断が難しくなります。
そんなときは5年後を想像してみましょう。
現在の上司や先輩を見るのもひとつの方法です。
その働き方や待遇を見て、「自分もこうなりたい」と思えるでしょうか。
答えがはっきりしないなら、一度ほかの会社を調べてみる価値はあります。
いきなり退職せず求人を見て比較する
転職を考えたからといって、すぐ会社を辞める必要はありません。
在職中に求人を見るだけでも、今の給与や待遇が一般的なのか比較できます。
調べた結果、「今の会社は思っていたより条件がいい」と分かることもあります。
それも転職活動で得られる情報のひとつです。
安定した転職先を見つけるためのチェックポイント
求人票には良い条件が並んでいても、実際の職場環境まで分かるとは限りません。
応募前と面接時に確認しておきたいポイントがあります。
売上や利益だけで会社を判断しない
会社の業績は重要ですが、それだけで転職先を決めるのは避けたいところです。
業績が良くても長時間労働が常態化していたり、自分の希望するキャリアと合わなかったりする可能性があります。
仕事内容、待遇、働き方、将来性をまとめて比較しましょう。
求人が頻繁に出ている理由を確認する
いつ見ても同じ職種を募集している会社があれば、少し調べてみましょう。
もちろん、求人が多いから問題のある会社とは限りません。
事業拡大で大量採用している可能性もあります。
気になる場合は面接で、「今回の募集は増員でしょうか」と確認できます。
平均勤続年数や離職率を見る
長く働きたいのであれば、社員の定着状況も参考になります。
平均勤続年数だけでは判断できないため、社員の年齢構成や中途入社者の割合なども確認すると、入社後の姿を想像しやすくなります。
仕事内容が具体的に書かれているか確認する
「幅広い仕事をお任せします」「成長できる環境です」だけでは、入社後の仕事内容が分かりません。
誰を相手にする仕事なのか、1日の流れはどうなっているのか、入社後どこまで担当するのか。
具体的に確認しておきましょう。
面接で確認しておきたい質問
面接は企業から質問されるだけの場所ではありません。
働き方を確認する機会でもあります。
たとえば残業時間が気になる場合、次のように聞けます。
「配属予定の部署では、通常期と繁忙期で残業時間はどの程度変わりますか?」
中途採用者の定着状況を知りたいなら、
「同じ部署で中途入社された方は、現在どのような仕事を担当されていますか?」
と質問する方法もあります。
「残業はありますか?」だけで終わらせず、具体的に聞くのがポイントです。
転職理由として「安定性」を伝えてもいい?
安定した会社で働きたいと思っていても、面接でそのまま伝えてよいのか迷う人もいるでしょう。
安定性を重視すること自体は問題ありません。
ただし、「安定していそうだから応募しました」だけでは志望理由として弱くなります。
「安定している会社だから」だけでは弱い
企業側からすると、「条件が良ければどの会社でもいいのでは?」と思う可能性があります。
安定性だけでなく、その会社で何をしたいのかまで説明しましょう。
面接で使える言い換え例
たとえば「安定した会社で働きたい」を、次のように具体化できます。
「長期的にひとつの分野で経験を積み、専門性を高めたいと考えています。」
これなら、単に楽な会社を探しているのではなく、長期的なキャリアを考えていることが伝わります。
志望動機につなげる
さらに、その会社を選んだ理由につなげます。
「長期的に経験を積みたい」という考えに加えて、応募先の事業内容や仕事内容、自分の経験を組み合わせます。
会社の安定性だけを褒めるより、「なぜその会社で働きたいのか」が伝わりやすくなります。
20代で安定した転職先が分からない場合は第三者に相談する方法もある
ここまで調べても、「結局、自分にはどの業界が合うのか分からない」という人もいるでしょう。
特に20代は、これまでの職歴だけで転職先を決める必要はありません。
未経験の仕事を含めて検討できる時期でもあります。
一方で、選択肢が多いからこそ、自分だけで求人を比較するのが難しいこともあります。
転職AGENT Naviは、転職希望者の希望や経歴を確認したうえで、転職エージェントとのマッチングを行うサービスです。
「どの転職エージェントへ相談すればいいか分からない」という場合の選択肢になります。
ただし、転職エージェントを利用したからといって転職する必要はありません。
今の会社に残る選択肢も含め、まず自分の条件を整理するために相談する方法もあります。
転職で安定を求める人によくある質問
正社員になれば安定しますか?
正社員は雇用期間が限定されない点などにメリットがありますが、正社員というだけで将来が保証されるわけではありません。
会社の経営状況、仕事内容、待遇、身につくスキルなども確認しましょう。
大企業なら安定していますか?
会社の規模は判断材料のひとつですが、大企業だから必ず安定しているとは限りません。
事業の将来性や自分が担当する仕事内容まで確認する必要があります。
安定している業界はどこですか?
生活に欠かせないサービスや継続的な需要がある業界は、候補として検討できます。
ただし、同じ業界でも企業によって経営状態や働き方は違います。
業界だけで転職先を決めないようにしましょう。
安定を捨てて転職するのは危険ですか?
転職には収入や仕事内容が変わるリスクがあります。
一方、現在の会社に残ることにも、収入が伸びない、スキルが身につかないといったリスクがあります。
どちらか一方だけを見るのではなく、残った場合と転職した場合を比較して判断しましょう。
未経験でも安定した仕事へ転職できますか?
未経験者を採用している会社や職種はあります。
ただし、年齢やこれまでの経験、希望する職種によって転職の難易度は変わります。
「未経験歓迎」という言葉だけで応募せず、研修内容や入社後の仕事内容まで確認することが大切です。
まとめ|「会社に守ってもらう安定」だけで考えない
転職で安定を求めるなら、「正社員」「大企業」「有名企業」といった肩書きだけで会社を選ばないことが大切です。
収入、働き方、会社の将来性、仕事内容、身につくスキル。
自分が何を安定と考えるのかによって、選ぶべき会社は変わります。
また、転職するか迷っている段階で会社を辞める必要はありません。
まず求人を調べ、今の待遇と比べてみるだけでも判断材料は増えます。
5年後も今の働き方を続けたいのか。
今の会社でどんな経験が積めるのか。
転職すると何が変わるのか。
この3つを整理したうえで、自分にとって長く続けられる仕事を探してみてください。
20代で自分に合う業界や仕事を一人で絞れない場合は、第三者から意見を聞く方法もあります。
転職することを前提にせず、現在の仕事と比較する材料を増やすところから始めてもよいでしょう。

